みんなで循環を
考える。

社員インタビュー

 「いいサイクル」を考え続ける 
ために、
 ブランディングにかけた
想い 

常務取締役松家 圭太

常務取締役松家 圭太

設立80周年を機に、あらたな挑戦への意志を表現するため、品川運輸は2年間にわたるブランディングを実施しました。「いいサイクル」の実現のために意欲的に取り組んできたこれまでの歩みを振り返りながら、あらたにサステナビリティ方針および企業メッセージを策定したブランディングのプロセスを、常務取締役の松家圭太が語ります。

 リサイクルに取り組み、
 地域の衛生を守り続けてきた80年 

––今回のブランディングにかける想いをお聞かせください。

品川運輸は2023年7月に設立80年を迎えました。一般家庭から出る廃棄物の収集および運搬の仕事は、創業以来私たちが続けてきた祖業であり、地域のみなさまが暮らす街の衛生と安心・安全を守ることを継続してきました。活動のはじまりは大正時代に遡るため、実質100年以上続けていることになります。

時代の移り変わりとともに、以前は焼却や埋立が当たり前だった廃棄物を、リサイクルすることで資源に変えていく考え方が徐々に広がってきました。近年はSDGsをはじめ、サーキュラーエコノミー*にも注目が集まるようになっていますが、私たちの会社はまさにそれに特化した事業を続けてきたので、80周年をひとつの区切りに、これまで実践してきた廃棄物の収集・運搬・中間処分の事業をさらに一歩発展させ、あらたな挑戦をしていきたいという想いが、今回のブランディングに込められています。

*サーキュラーエコノミー…製品の設計段階からその生涯をデザインし、製品の製造→消費→廃棄→リサイクル→製造と循環し続け、消費経済成長と環境負荷を低減させることを実現することです。

今後は資源としてのごみの可能性を世の中に発信していくと同時に、さらなるリサイクルの可能性を探っていけたらと思っています。将来的に私たちが収集するすべての廃棄物がリサイクルできるようにすることが目標なので、少しずつその理想に近づけていきたい。そのためには、自分たちが努力していくことはもちろん、お客様に対しても「こうすればもっとリサイクルできますよ」といったノウハウや知識を伝えることで、新しい仕事につなげていきたいと思っています。

SHINAUN 松家圭太のインタビュー

––これまで品川運輸では、リサイクルのためにどのような取り組みをされてきましたか?

自社工場に搬入されたリサイクルできる資源の選別に関しては、手選別、磁選機、風力選別機などがあり、マテリアル向け、ケミカル向け、サーマル向けに製品化し、次のリサイクル企業に引き渡すという事業を展開しています。
細かく資源を分けることでリサイクルを推進していく流れが、20年以上前から続いていますが、品川運輸では、「これからは廃棄物をより選別することでリサイクルを推進し、循環型社会を築くことが大事だ」と考えた先代社長が一念発起し、2002年に京浜島に中間処理のための自社工場をつくり、そこから事業を伸ばしてきた経緯があります。廃棄物収集運搬業と中間処理の工場を自社で持つことは、当時はまだ珍しかったのではないかと思います。

SHINAUN リサイクル中間処理されたアルミ缶

弊社では、中間処理を施した資源ごみは、新たな原料として再利用する「マテリアルリサイクル」や、別の原料となる物質へと変える「ケミカルリサイクル」のために、それぞれ別の工場に搬入しています。どうしても燃やすしかない廃棄物に関しては、熱エネルギーに変える「サーマルリサイクル」につなげ、自社工場の電力としても有効活用しています。

 リサイクルのためにできることを 
 提案していきたい 

––サーキュラーエコノミーの実現に向けた取り組みを実施する企業は増えてきているのでしょうか?

そうですね。たとえば、使用済みペットボトルから新しいペットボトルをつくる技術が確立され、飲料メーカーの多くが参入し、積極的に取り組んでいます。弊社ではそういった企業に対して、収集と運搬はもちろん、中間処理工場で異物を取り除き、ボトルを選別して品質を上げ、原料化工場に収めるまでを一貫して行っているので、リサイクルを推進していきたいと考える企業の方々のパートナーとなる上で、大きな強みだと考えています。

SHINAUN リサイクル中間処理 分別作業をする手元

日本の場合、化石燃料などの資源が少ないため、ごみを焼却することで効率良くサーマルリサイクルにつなげてきた経緯があります。一方ヨーロッパでは、燃やさずにリサイクルに回すことが当たり前になってきていますし、将来的に日本もそういった風潮になっていくと思うので、世界的な流れをより多くの方に知ってもらい、ごみを資源に変えるという考え方をもっと広げていければと思っています。

サーキュラーエコノミーの実践には、つくる段階から最終的な捨てる段階のことを考えることが重要になってきます。次の製品へとつなぐリサイクルに取り組むことは、お客様の事業を社会貢献へとつなげていくことになるので、「ぜひ一緒に挑戦しませんか?」という弊 社の姿勢を伝えていきたいと思っています。

SHINAUN 松家圭太のインタビュー

––企業がリサイクルを推進するにあたって、どのような視点が必要になるのでしょうか?

SDGsの言葉の広がりとともに、環境のための取り組みをどんどん取り入れていく風潮は広がっているので、リサイクルやリユースに対して積極的なメーカーや大企業は多いと思います。一方で、個人経営のお店や、零細企業、中小企業にとっては、手間やコストの面から実践が難しい場合も少なくないのが現実です。

たとえば、今まで熱エネルギーとして焼却していたものを、あらたに原料として資源化する場合、車の手配や、中間処理、再商品化のための費用が別途かかってきます。それは商品の価格に転嫁されることになるので、価格が高くても、リサイクルへの取り組みを推進している商品を購入したいと考える、消費者側の意識の広がりも必要だと思います。

SHINAUN リサイクル中間処理 ペットボトル

ただ、そういった意識は若い世代を中心に増えてきているのも感じています。私の子どもも学校でSDGsを習っていますし、どんな素材でできているのか、リサイクルできるかどうかを基準に商品を選ぶ方も増えており、好循環が期待できる時代に変わりつつあると感じています。

企業にとっては取り組まなければならないという思いと、取り組むことで生じる課題もあるのが現実ですが、どんなことからはじめられるのか、一緒に考えていけるような提案ができればと思います。

 あらたな企業メッセージが 
 生まれるまで 

––今回のサイトリ二ューアルでは、「サステナビリティ方針」があらたに公開されました。策定にあたってはどのような経緯があったのでしょうか?

これまで品川運輸は、SDGsを意識した事業展開をしてきたわけではなかったのですが、事業の内容としてもSDGsに直結するものですので、80周年を迎えた新たな事業展開への挑戦を視野に、社内勉強会を実施したことが今回の方針策定のきっかけでした。メンバーを10名ほど選抜し、SDGsのコンサルタントの方にご協力いただきながら、月に2、3回の勉強会を実施し、SDGsの視点から自分たちの会社についてあらためて考える機会をつくりました。

SHINAUN SDGs資料

メンバーの選別においては、SDGsのためだけにチームを設けるのではなく、実務との関わりを持たせるためにも、さまざまな部署に所属する社員に参加してもらうことにしました。これまで他の部署についてまったく知らない状態だった社員同士がお互いの仕事を知るきっかけにもなり、「もっとこうした方がいいんじゃないか」という積極的な議論がさらに生まれたのはよかったと思います。最終的に、事業に沿った内容の「サステナビリティ方針」をまとめることができたので、今後はしっかりと実現に向けて動いていきたいと思っています。

––サステナビリティ方針と同様に、リニューアルに合わせてメッセージやパーパス・ビジョン・バリューもあらたに公開されています。これらはどのような議論によって生まれたのでしょうか?

サステナビリティ方針の策定をきっかけに、品川運輸がどんな会社になっていくべきかという議論が進んでいき、80周年のタイミングで企業理念やパーパス、ビジョン、バリューもあわせて考えることになったんです。80年間続いてきた地域とのつながりや、私たちが抱き続けてきた環境への想いを、従来よりも伝わりやすい表現の言葉にできたのではないかと思いますし、なにより社員みんなで考えることができたのがよかったですね。

SHINAUN ロゴ

とはいえ、今回発表したものはある意味、これまで自分たちがやってきたことを言葉にしただけであって、社長とも「そもそもの考え方は変わっていないよね」といった話をしているんです。今後はこれらのメッセージを社内に浸透させていくことが課題になると思いますので、今回のブランディングを経て品川運輸はさらにどんなことに挑戦していきたいんだということを、対外的にはもちろん、社員にもしっかりと理解してもらえるように発信していくつもりです。

 答えを考え続けることが 
 「いいサイクル」につながる

––ブランディングのための一連のプロセスを振り返って、どのように感じていますか?

約2年間のブランディングを経てあらためて感じたのは、品川運輸の仕事は生活に必要不可欠なインフラを支える仕事であり、感謝される仕事なのだということでした。コロナ禍に入った頃、お子さまや住民の方から「コロナ禍で大変だと思いますが頑張ってください」「いつもごみを収集してくださってありがとうございます」といった言葉を、収集袋に貼られていた手紙を通していただく機会が何度もありました。とても励みになりましたし、社員にとっても、この数年間を通じて、自分たちがやっていることはとても大事な仕事なんだということを、あらためて実感できる場面が多々あったのではないかと思います。品川運輸の事業の成長は社員みんなのおかげであり、誇りを持って取り組めるやりがいある仕事だと確信しています。

SHINAUN 女性社員

今後はメッセージの社内浸透が進むことで、日頃の仕事においてよりサイクルに対して意識的になれると思いますし、新しい意見や声が社員から出てきた際には、ちゃんと吸い上げていくことに積極的になっていきたいと思います。

SHINAUN 松家圭太のインタビュー

––最後に、松家さんにとっての「いいサイクル」とはなにか、お考えをお聞かせください。

「いいサイクル」についての回答は、これからも繰り返し、継続して考えていくことで、そのタイミングでのベストのものが出てくるのだと思います。「もっとできることがあるんじゃないか」「もっとこうした方がいいんじゃないか」といった追求する姿勢が、結果的に「いいサイクル」につながっていくので、諦めずに考え続けていきたいですね。

また、これからは企業や近隣住民の方との接点を持つ場をつくっていきたいと考えています。たとえば去年のクリスマスには、もともと廃棄されるような日常の素材を活用したクリスマスリースとスノードームづくりのワークショップを開催し、近所の方々にご参加いただきました。今後もこういった身近な題材を使ったリサイクルや循環に触れる機会を設けることで、「いいサイクル」について考える方々を増やしていくことにつながるのではないかと思います。「いいサイクル」とはなにか、自分自身でもまだ明確な答えは見つかっていないので、これからも社員と一緒に見つけていきたいです。

いいサイクルってなんだろう。

SHINAUN 常務取締役 松家圭太のポートレート

常務取締役

松家 圭太

2011年3月入社
業界未経験で右も左もわからないまま入社。先代から続く「まずは現場から」という教えに従い、各部門の事業を体で経験し、総務人事、管理を経て現在に至る。

執筆・編集・写真

フリーランスライター / エディター

堀合 俊博

(a small good publishing)

フォトグラファー

川島 彩水

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「いいサイクル」を考え続けるために、ブランディングにかけた想い

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